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ハーブの歴史

人とハーブの歴史

 「ハーブ」という言葉は一般的に、薬効効果のある植物、あるいは風味や香りのよい植物をさします。ここで紹介するのは、薬効効果のあるハーブです。

 世界中には、約38万種の植物の存在が確認されております。これ以外にもまだ確認されていない数十万種類の植物があると予想されています。確認されている全植物のうち、約26万種は葉緑素を持ち、光合成をする高等植物です。植物は光合成をすることによって、日光のエネルギーを利用して二酸化炭素と水から炭水化物を合成します。高等植物に分類される植物はすべて薬効が期待できます。しかし、これまでに薬効の研究されている植物は全体の10%にすぎません。

ハーブの作用

 植物の細胞組織は化学工場にたとえられます。二酸化炭素と水と日光という原材料から養分を作り出すのです。この過程で炭素という副産物が生まれます。ハーブはたいがい薬理学的に有効な、つまり動物の組織や器官によい効果をもたらす物質を多く含んでいます。ハーブは薬として病気の治療や予防に使用されます。植物は葉、根、漿果、実、種など複数のパーツから構成されています。ハーブには「全体的に体調を調えるハーブ」、「痛みや炎症を抑えるハーブ」、「筋肉の痙攣を鎮めたり、体の免疫機能を高めるハーブ」、「興奮作用を持つハーブ」、「リラックスするハーブ」、「バクテリアを殺すハーブ」などがあり、ハーブの種類によって効能もさまざまです。

 人類がハーブを使い始めたのは何千年も昔のことです。当時、何故ハーブがよいのか誰も知りませんでした。ある植物を使ってみたら、期待していた効果が偶然見つかったのです。私たちの祖先はフォックス・グローブを心臓病の治療に使っていましたが、この植物にはグルコシドという心臓の細胞を活性化させる物質が含まれていることを知っていたわけではありません。中世の母親は子どもの擦り傷にコンフリー(ヒレハリ草)の葉を当てていましたが、この植物に含まれている収れん性のあるタンニンが傷口に薄い膜を作るため、回復が早まることなど知りませんでした。中国の漢方医が関節炎に甘草を処方していましたが、甘草にはサポニンという抗炎症作用のある天然ステロイドホルモンが含まれていました。古代エジプト人が奴隷に健康維持のためにニンニクを食べさせていた話はよく知られていますが、ニンニクには感染を防ぐ発揮性油が含まれているのです。

 ハーブが何故効くのか・・・

 アメリカンインディアンを代表する、チェロキー族の医師の言葉です。今日その仕組みはほとんど解明されています。それでも植物を分子レベルまで分解してその成分を分析したりしていますが、科学的データがまだまだ不足しているため、相変わらず「おばあちゃんの知恵」に頼っているのが現状です。

世界のハーブ(1) 北米ハーブ編

 かつては、2千種族もあった北米の先住民たちには、それぞれ独自のハーブ薬学がありました。ヨーロッパからの先住民は、その治癒力に驚かされました。彼らは生命を脅かすような怪我でも、ハーブ治療によって回復してしまうのです。記録によると腹部に4~5か所も銃弾や矢を受けても、後遺症も残さず完治した戦士を見た人もいるそうです。彼らは先祖から受け継いだハーブ治療の知識をもって、ヨーロッパから来た医師が開腹手術をするような怪我でも治してしまったそうです。各部族の医師は、風邪や流感から受胎調節まで、どんな問題でも解決できたのです。

 彼らが教えてくれたハーブは、現在でも生活になじんでいるものもありますが、今では手に入らなくなったハーブがほとんどです。

 「植物が存在しなければ、我々も存在しない。植物が吐き出したものを我々は吸っている。我々は常に植物から学び続ける・・・」
 アメリカンインディアンを代表する、チェロキー族の医師の言葉です。

世界のハーブ(2) 南米ハーブ編

 コロンブスが「新大陸アメリカ」を発見してから、南米大陸は現在でもハーブの宝庫として知られています。南米の人々は現在でも、ほとんどの病気の治療はハーブに頼っています。米国では今でもヒスパニックが多く住む地域では、薬局よりハーブショップのほうが繁盛しています。今、米国で人気のあるハーブのほとんどは南米から持ち込まれたハーブですが、紹介されているハーブは、南米ハーブのごく一部です。

 ここでは、南米で特に人気のハーブを一部紹介します。

  • チリペッパー(Cayenne pepper)-原産地ではB.C.7000年から民間療法として用いられています。
  • パウダルコ(Pau d'arco)-ブラジルでは、がんや真菌感染の民間療法として使用されます。現在、東洋医学会でも、抗がん作用、抗真菌作用が認められています。
  • ステビア(Stevia)-パラグアイを原産地とし、砂糖の200倍の甘味があります。日本ではノンカロリーの甘味料として使用されていますが、米国では甘味料として認められていません。しかし、ハーブショップでは乾燥ステビアが入手できますので、これを料理用に使用しているようです。

世界のハーブ(3) 中国ハーブ編

 中国最古のハーブ書「Shen Nong Ben Cao Jing」は、約2千年前のものと考えられます。500種類の薬草が「上級薬」(中毒症もなく毎日摂取しても危険のないもの)、「中級薬」(必ずとも安全なものとは言えず、使用状況によっては毒性がありうるもの)、「下級薬」(現在の抗生物質のようなもので短期間の使用のみ安全とされるもの)の3段階に分類されています。書中に掲載されているハーブは、今日の漢方医学において、ほとんどが利用されています。しかし、これは特定の病気を治すためではなく、肉体的、精神的な健康維持を目的とし、哲学的な要素も多分にあります。これに対して、西洋医学ではあくまでも病気を治すために薬品処方をするので、強壮剤という概念はなく、純粋な科学であるということです。

 中国人は、自然には「陰」と「陽」の二つの極があると考えています。「陽」は動的なエネルギーを費やすものをあらわし、「陰」はもっと静かなもので、エネルギーを補充するものをあらわします。健康を保つためには、この「陰」と「陽」のバランスが必要であると考えているのです。

ここでは、漢方で利用されている代表的なハーブを一部紹介します。

  • アロエ・ベラ(Aloe vera)-2千年前から中国では馴染みのハーブです。緩下剤、胃肝臓や、脾臓の不具合に利用されたり、外用薬として火傷、乾燥肌など、皮膚疾患に利用されています。
  • バジル(Basil)-血行促進や食欲増進、目の充血やじんましんなどの疾患に利用されています。
  • ニンニク(Garlic)-抗生作用と抗炎作用に優れ、赤痢アミーバ症、カンジタ膣炎、中耳炎の治療にも利用され、外用薬として鼻血、虫刺されなどにも利用されています。
  • ショウガ(Ginger)-2千年以上も前から、嘔吐、吐き気、乗り物酔いなどに利用されています。
  • ローズマリー(Rosemary)-3世紀頃に登場し、頭痛、腹痛の痛み止めとして盛んに使用されています。また、精神安定の効果も高いと言われています。

世界のハーブ(4) インドハーブ編

 アーユルヴェーダは、インドでおよそ5千年前からの伝承ハーブ薬学で、世界最古の医療体系と考えられます。ローマや、ギリシャの薬学理論と同じく、ハーブを地、水、火、空気、精気の5つに分け、さらにハーブの味によって甘い、すっぱい、塩辛い、辛い、苦いの5つに分けています。

 アーユルヴェーダも漢方医学と同様に、健康な肉体、精神、魂が病気を予防すると考えられています。最近になってようやく認識するようになった食生活や生活習慣が健康を左右させるということを、アーユルヴェーダは当初から重視しており、インドでは教えが現在でも実践されています。

  • アマラキ(Phyllanthus emblica)-古くから咳、摂食障害の治療に利用されてきました。皮膚病や主要にも効果があります。
  • シャンカプシュピ(Convolvulus microphyllus)-神経障害に効果があります。軽い鎮痛作用もあります。
  • アシュワガンダ(Withania somnifera)-骨折の回復を早め、鎮痛作用があります。